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旅行記 [4]
[4]

振り返れば、インドの旅は
インド人との格闘だった。
疑うか、疑われるか。
その問題が常につきまとう。

私たちは信頼に満ちた旅をしたいし、
向こうはなるべく多めの報酬を望んでいた。
そこの駆け引きから生まれる格闘。

でも先にお金の話となると、信頼が持てず払う気になれない。
遠慮がちにされると、多めに払いたくなる 笑


私たちをのせて寺院に向かう彼等を見て、
そういう今までのことを振り返った。
こちらもはなから信用してなかったのかもしれない。

インド人だって疑われるのにウンザリなはずだ。
このぼろぼろで重いチャリを
こんなにすいすい漕げることが
一つの真実を語っていた。
毎日必死で働いているという真実。
そしてリキシャを漕ぐ彼の背中をみて
胸がいたくなった。


私は彼等は幸せなのではとおもった。
なぜなら、こんなにも人の心に優しさや温かさをくれる
力をもっているから。
どんなマハラジャよりも、どんなに進んだ国よりも、
私たちが本当に人生において価値のあることは
こういうもんだと思った。
でもそれを彼等が実感しているのかは分からない。

実際問題、お金がなければ生きていけない。
こんなに頭がよくて、たくましくて、立派な彼らでも、
夜になれば地面で寝なければならない。
なんのせいか、だれのためか。

だからせめて日本人として私は、
日本で覚えてきた普段のマナーや心使いは
決してこの旅で忘れてはいけない、とおもった。
ここでは金持ちだけど、その力を駆使したくはない。
インド人を尊敬しながら旅をして行くのが私に合っているんだ。
決して偉ぶってはいけない。

たばこがない友人に「いる?」と差し出すような感覚で
私は彼等に接しはじめた。

昼に一旦ホテルにもどり、
夕方またねと約束をした。
私たちは昼寝やシャワーやらメールチェックをして
停電の多いこの町を一旦休憩した。

夕方また彼等は待っていた。
彼等はあせびしょりになっていたのに
3日間一度も服を着替えることはなかった。

彼等がしてくれたことに対して私達は何ができるのだろう。
もちろん決められたお金を払うこと。
それ以上のお金を払うこと?
それはなるべくしたくないと思った。
私が彼等に少し多めのお金を払っても
彼等のこの生活が変わるとはおもえない。
そんな一過性の、形式上の感謝なんてたちが悪い。
それよりも、決められたお金をもらい、
私たちといる時間がとても楽かった、と思ってくれる方が
お互い幸せだ。
だから私は彼等との残りの時間、たくさん話し、通じ合い、笑おうと決めた。
それが私なりの答えだった。

私たちが土産屋で高級なシルクを選んでいるときは
ずっと店の隅で見守っていてくれた。
スコールが降る。
彼等ははしゃぎながら「こっちこい!」
とかくまってくれる。笑う。
超高速観覧車で絶叫する。

そして夜の何とも言えないあの町の光と音
彼等のリキシャでホテルへ戻る。
彼等とのさいごの時間。
すべてのことにぐっときてしまうような
満たされた気持ちだった。
色々な思いでの中で、彼等と築きあげた
信頼と思いではこの旅で重要なものになると
確信していた。

ホテルの前につき、
今日の夜中発の寝台に乗って
私たちはかえるよというと
とても寂しそうな顔をした。
そして、それなら僕らが駅まで乗せていくよと
いうので喜んでお願いした。

では本当に楽しかったよ、ありがとう 
夜中にまたここにくるよ。
と私たちがキラキラとホテルの方を向いた瞬間だった。

「マネー」

という声が聞こえた。
振り返ると
さっきまでの笑顔の消えたアシームが
右手を突き出し目を見開き、
そこに立っている。


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